バッハの音楽と20世紀の音楽の関係

2016年2月23日火曜日



J.S.バッハを中心とするドイツ音楽の研究者、樋口隆一先生が芸術監督を努めていらっしゃる「明治学院バッハアカデミー」。6月にサントリーホールにて行われる演奏会において、「バッハアカデミー」が「バッハでない」時代の音楽を演奏します。「なぜバッハアカデミーがバッハの時代ではない楽曲を演奏するのか」、その理由を樋口先生へ伺いました。そのお話から、「なぜバッハを演奏するのか/なぜバッハを学ぶのか」が見えてきました。



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バッハの死後、一般にはその存在、作品ともに忘れられ、19世紀に「ドイツ音楽の父」として再び陽の目を見ることになったことは有名ですが、本格的に演奏されるようになったのは20世紀になってからのことです。



19世紀後半を費やした「旧バッハ全集」の影響は、20世紀において全ヨーロッパに及び、第1次大戦後のフランスにおいて「バッハに還れ」という運動が盛んになりました。

すなわち、「新古典主義」とよばれる、それまでのいわゆる「ロマン派」への反動であり、バッハや古典派などの形式主義的なスタイルを目指した芸術運動がおきたのです。

フランスでも、作曲教育の基礎にバッハの研究が置かれるようになりました。

フランクのコラールなどもそうしたもののひとつでしょう。

シュヴァイツァーが名著「バッハ」を書くようになるのも、師のヴィドールから、「われわれフランス人でもバッハがわかるようになる本が欲しい」と言われたことがきっかけだったそうです。

特にプーランクは、1932年の「音楽雑誌」の「バッハ特集」に、「バッハの名前による即興的ワルツ」を寄稿しているほどの懲りようでした。



今回演奏する「オルガン、ティンパニと弦楽のための協奏曲」では、冒頭からオルガンが、明らかにバッハのオルガン曲のパロディーのような大げさな身振りの音楽で始まります。

テンポの速い部分も、健康な演奏の喜びに繋がる単純な運動性は、たとえば「ブランデンブルク協奏曲」に代表されるバッハの協奏曲の特徴で、こういうのが当時は逆に新鮮だったのですね。

重厚で複雑なロマン派に対する一種の反発があったのです。



椎名雄一郎さんもあちこちのオルガンで弾いているようですが、今回いよいよサントリーホールのリーガーオルガンなので、とても楽しみにしてくれています。

N響のみなさんも「ほとんど弾いたことがない」と言っておられるので、楽しみですよ。

��2016年2月22日)



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時代の変遷期において、バッハを学び、「還る」ことによって音楽の本質を求めようとした20世紀の作曲家。かれらの音楽を学ぶことにより、その人達が見た「バッハ像」から学ぶ「バッハ」もまた意義深いものかもしれません。




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